そうして、パーティ当日になってしまいました。
今日はお義母様とお母様が選んでくださった藍色のドレスです。ワインレッドのリボンでウエストラインを強調し、裾部分には金糸で刺繍のお花が咲いています。ウィルの色で揃えたドレス。ウィルは私の姿を見て、何を思うのでしょう。私は不安になりながらも、金色の髪を丁寧に結上げてもらい、お義母様から贈られた美しいティアラを頭に載せました。
私の魔法で出した赤い薔薇を彼の胸ポケットにさす予定だそうですが、まだ当日だというのにウィルは帰宅していません。
「ローズ様!過去最高に美しいですわ!」
「ありがとうアンナ」
「皆さんきっとローズ様を見たら美しすぎて卒倒しちゃいますよ!」
「そんなこと……元気づけてくれてありがとう。私、会場のお花を確認してきます」
「私が行きますわ!」
「いいの。少しでも動いていたくて。わがまま言ってごめんなさい」
少し気を抜くと泣いてしまいそうなのです。優しくされる度、ささくれだった心が悲鳴をあげるのです。
(ウィルは……本当に、今日を迎えてよかったのかしら……そもそもパーティーに来てくださるのかしら……)



