ウィルと話せた夜から、数日が経ちました。私は相変わらずパーティーの準備や淑女教育を受けながら日々を過ごしています。
ウィルとはその後、挨拶くらいで、ゆっくりとは話せずにいました。
「ローズ様、今日は少し、ゆっくりされては?」
「ありがとう。でも大丈夫です。パーティまであと少しですし……」
「……ローズ様……」
アンナや屋敷で働く皆さんが、私を元気づけようと声をかけてくださることが増えました。
それは貴族の間で広まってしまったある噂が原因です。王女様が視察でウィルを連れ王都に出かけたことがきっかけで、『愛されていない形だけの婚約者。公爵様は隣国の王女にご執心』と言われているとか。婚約披露パーティーも冷ややかな雰囲気になるのではと、今から噂されているそうです。そんな噂を蹴散らそうと、屋敷の皆さんは準備に邁進してくださっています。そして、私にとても優しくしてくださるのです。
優しくされるほどに、自分が痛々しいものになっていくような気がします。表面上はニコニコと気にしていないふりをしていましたが、あの夜ウィルの態度を目の当たりにして、段々と辛くなってきました。
夜になると、誰もいない部屋で一人、涙がこぼれます。
『ローズ?泣いてるの?』
「デイジー……」
『泣かないでローズ。お花をあげるよ。笑ってローズ』
「っ。ううっ」
キズモノになり、魔法も上達しない私。花屋を開店して、一人で生きていこうと思っていましたのに。
何故ウィルに会えないだけで、彼の心が見えないだけで、こんなにも辛いのでしょう。
一方で、はっきりとウィルの気持ちを知るのが怖いだなんて。泣いても仕方ないのに。自分で自分が嫌になります。それでも流れる涙は止められませんでした。
ウィルとはその後、挨拶くらいで、ゆっくりとは話せずにいました。
「ローズ様、今日は少し、ゆっくりされては?」
「ありがとう。でも大丈夫です。パーティまであと少しですし……」
「……ローズ様……」
アンナや屋敷で働く皆さんが、私を元気づけようと声をかけてくださることが増えました。
それは貴族の間で広まってしまったある噂が原因です。王女様が視察でウィルを連れ王都に出かけたことがきっかけで、『愛されていない形だけの婚約者。公爵様は隣国の王女にご執心』と言われているとか。婚約披露パーティーも冷ややかな雰囲気になるのではと、今から噂されているそうです。そんな噂を蹴散らそうと、屋敷の皆さんは準備に邁進してくださっています。そして、私にとても優しくしてくださるのです。
優しくされるほどに、自分が痛々しいものになっていくような気がします。表面上はニコニコと気にしていないふりをしていましたが、あの夜ウィルの態度を目の当たりにして、段々と辛くなってきました。
夜になると、誰もいない部屋で一人、涙がこぼれます。
『ローズ?泣いてるの?』
「デイジー……」
『泣かないでローズ。お花をあげるよ。笑ってローズ』
「っ。ううっ」
キズモノになり、魔法も上達しない私。花屋を開店して、一人で生きていこうと思っていましたのに。
何故ウィルに会えないだけで、彼の心が見えないだけで、こんなにも辛いのでしょう。
一方で、はっきりとウィルの気持ちを知るのが怖いだなんて。泣いても仕方ないのに。自分で自分が嫌になります。それでも流れる涙は止められませんでした。



