「帰還されるんですか?」
「ええ、明日のお昼の予定だそうです。」

 9日目の朝、ウィルの魔法で文が届きました。魔法が届く範囲にいるのに、転移で帰ってこないのはなぜでしょう。ロバートも同じ疑問を抱いているようです。

「公爵家の警備隊を派遣します。おそらく旦那様は転移をしないか出来ないでいて、陸路で帰還されていると思われますので。王宮と伯爵家にも使いを出しましょう。」
「お義父様にもご相談してください。アレク王子も同行されているのだし、王宮の兵を出すとおっしゃるかもしれないわ。」
「承知しました。文には明日ご帰還とありますので、元気を出してくださいね。」
「ありがとうございます。」

 少し疲れた顔のロバートと、顔を見合わせて苦笑します。たぶんお互いに同じような顔をしているのでしょう。

 だけどやっと帰還されるんだと思うと、少しだけ安堵しました。恐らくご無事なのでしょう。転移は出来ないご事情があるけれど、魔法が使える。文が出せる状況なのであれば、お身体に問題はないのかもしれません。私はそう思い直して、明日に向けて準備を進めました。