ポン!!

私の周りにピンクの花が咲き乱れます。
魔法の制御は今も苦手で、こうして心が乱れると花を無作為に咲かせてしまうのです。
「結婚しよう」などどお慕いしていた憧れの方(しかも成長してさらに素敵になっていらっしゃる方)に言われて動揺しない令嬢がおりましょうか!!?

「こ、公爵様!動機が謎です!責任感だけで求婚しないでくださいませ!」

そう、胸を見たい、と言ったのも、結婚しようと言ったのも、責任感からなのでございます。きっと現在魔術師として活躍される中で、昔の失敗を思い出されたのかもしれません。

「…む、胸のこと、は、お忘れになられたもの、と思っておりました。」
「忘れる訳がないだろう。君の身体に傷をつけたのはこの私だ。」

 そう、私の右胸には傷痕があります。
キズモノになった伯爵令嬢。しかも魔法も花魔法しか使えない。
 これが私が結婚出来ない理由です。

 胸にあるのは、赤く大きな火傷の跡。それを付けたのは幼い公爵様でした。