訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!

 お義父様とお義母様と相談し、1か月後に婚約発表パーティを開くことになりました。

 正直に言いますと、ウィルの相手は私で良いのか、まだ少し迷っています。あの日、丘の上でのプロポーズを受けてしまってよかったのか、考え込むこともあります。私にとっては。嬉しくて仕方ないことですが、ウィルは責任を取ってくれようとしているだけなのでは、と不安にかられる夜もあります。
 だけど、ウィル不在のまま、着々と準備は進んでいきました。

「さぁ準備しましょうね!」
「はいお義母様。」

 幸いなことに、お義父様もお義母様もこの結婚に賛成のようです。張り切って招待状を送り、今はドレスの最終調整をしています。胸の傷をまだ確認してもらっていないけれど、あの日のプロポーズが、私の心を支えていました。

***

 庭師としての私は、かなり頑張っています。
 ジェームズお爺様とはかなり気軽にお話できるようになりました。今は、パーティで飾る装飾花や私が持つブーケ、お土産に小さな花束も考えています。

「この花はどうじゃろう?」
「まぁ素敵!これならこのお庭にたくさん咲いていますし、良いですね!」
「魔法でうまいことブーケにできるかの?」
「もちろんです!」

 私の魔法が役立つ瞬間があることも、自信の一つになりました。


 執事長のロバートとは来賓の方のご案内順や会場のレイアウト、警備のことなども打ち合わせしています。お義父様もチェックしてくださるそうで、三人で討論しています。

「こちらのテーブルセッティングで、…」
「ではお客様おひとりおひとりに…」
「警備の配置は、ここだけだとまずい。こちらにも──」

 連日の準備、打ち合わせで大忙し。そのおかげで余計な事を考えなくて済むのはありがたいです。
 だけど、離れ離れの日数が増えるたび、ウィルに会いたい気持ちと寂しさが募っていきました。