訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!

 馬車の音が聞こえ、私たち家族は、公爵様がお見えになるのを玄関で待ち構えています。

「そんなガチガチに緊張しなくても…。」

お兄様が呆れたように言ってきましたが、それどころではありません!私の心臓が先ほどからものすごい音を立てて鳴っています。

「お兄様は普段からお会いされてるんでしょうけど、私は5年ぶりなんです!緊張くらいします!」

お兄様も公爵様も王宮でお仕事をしています。魔法学園も同級生でしたし仲良しですし普段からたくさん会えるんでしょうね!うらやま…いえ、なんでもありませんよ!
 私は5年前に魔法学園でチラッと見かけたくらいで、ぜんっぜんお会い出来てなかったんですからね?緊張くらいします!

「まぁ、ローズったら。ウィリアム様が来てくださるのがそんなにうれしいのね〜。」
「緊張するローズも可愛いよ。あんまり可愛いから公爵様に見初められるんじゃないか~?はっはっは」
「!!!お、おおお、おとうさま!」

 私がお父様の発言に慌てふためくのも全く気にせず、お父様は「ダリア、君の美しさには負けるけれどね。」とお母様をサッとフォローしています。娘とはいえ、他の女性を褒めたので、サクッと妻に気遣いをするあたり、お父様はお母様にべた惚れですね。

「まあ貴方ったら!愛してるわ!」

 お父様とお母様の仲は大変良好です。公爵様が今にもこちらへいらっしゃるというのに、見つめあってお二人の世界になっておりますね。
 私たち兄妹はこのようなイチャイチャタイムが始まると、スッと空気のようになる技を身に着けております。

スッ。