繁田はそれを受け取り、睨むように見る。


「これ……犯人だったりしません?」
「昔の女とかかもしれないだろ。犯人にするには無理がある」


続けて日記を見せた。


「日記によると、最近知り合ったばかりの恋人みたいですよ。どうやら佐野逞の独占欲が相当強かったようで」
「……それが嫌で殺した、と?」


そうは言っているが、繁田は信じられなかった。


「その可能性はゼロじゃないと思います。でも……やっぱりほかの男たちとの関わりが見えないし、違いますかね」


柴崎は繁田から日記と写真を受け取り、元の位置に戻す。


「……そういえばお前、その女見覚えがあるって言ったよな?どこで見たんだ?」
「どこって……あ、あれです。行方不明者のリスト。その中にいましたよ。たしか名前は……黒瀬彩羽」


柴崎が言うと、繁田は「黒瀬彩羽……」と繰り返す。


「父親が探してくれって……半年くらい前に依頼してませんでしたっけ」


柴崎が何を言っても、考えごとをしているため、繁田は答えない。


柴崎は会話を諦めて、ほかの手がかりを探す。


「……半年間、見つけられなかった女……もし男の部屋に隠れて歩いていたとしたら?」
「そんな都合いいことあります?」