私は優馬が好きだ。

 んで、昨日、告った。

 …電話で告ったってのが、また情けない。

『…つ、つつ、月が綺麗ですね』

 どうせなら、なんか捻りたくて、夏目漱石のその言葉を使った。月なんて出てないけど、夜だし、私にしては割と良かったんじゃない? と思っていたら。

『…俺まだ死にたくないや。あと1年したら、死んでも良いよ』
『え、え?』

 意味の分からない返事をされた。

 私は告白をしたはずなのに、なんで急に生死の話になるの? しかも、1年したら死んでも良いって…。

『サッカーやめるから?』
『サッカーは、関係ないよ。俺とお前とのことにサッカーの理由使うなんて、変じゃん。俺はもうちょっと、このままでいたいってこと』

 訊いたら、もっと訳が分からなくなった。
 それから沈黙が流れて、そのまま何も言わずに電話を切られた。そのあと「おやすみ」ってメッセージはきたけど…。…ってか、練習試合の前日になんて、なんで告っちゃったんだろう。

「好きだって言われて、驚いた。でももうちょっと、返事に対して何か言ってくれても良かったと思うんだけど」

 …何を言えば良かったって言うの。

「なんで死ぬなんて言うの?」

「…は?」

「死んでも良いなんて…言わないでよ」

「ちょ、ちょっ? つまりお前、俺のこと好きだけど振られたかったって、そういうこと?」

「…え?」

「は?」

 なに…全然、噛み合わないんだけど。