皆は、一同に静まり返った。アドリブ劇。題材は、前もって配られる既製の作品リストの中からランダムで文化祭当日に決められる。
セリフはその劇の名のとおり、全部アドリブでつないでいかないといけないので、五分~十分ほどの短い上演時間ではあるが、なかなか難しい。
芸術に力を入れているこの学校の伝統の劇である。
ただ、このクラスの生徒達は、お好み焼き屋をやりたいのであって、十分ほどの時間であっても、劇をやりたいとは思っていなかった。
その雰囲気を察知した拓海君は口を開いた。

「十人参加して頂く予定です。できれば、これについては自主的にやる気のある人を募りたいと思ってます、クジではなくて。学校の為、僕が、私が、という人は挙手の方を。僕も参加しますので、後、九人!」

生徒達は、お互いの顔を見合わせて困った顔をした。