舞は言った。

「シンデレラ!実はあの時、ガラスの靴をはいていたのは、あなただけでなく、私もはいていたのよ!」

そう言って、倫子を押しのけ、ガラスの靴をはいてみせた。
当然、倫子と近い足のサイズの女の子が、クラスに一人はいて当然である。見た目には、ぴったり舞の足に合っている様に見える。
さらにえんぴつ、どんぐりが続く。

「まあ、ぴったり!シンデレラ!あんた、お母様に育てられた恩を仇で返す気?王子様とお母様との恋路を横取りしようなんて!
私だって、やろうと思えば…ほら、ぴったり!」
「そうよそうよ!体の小さい私だって、やろうとすれば、あんたと同じ事ぐらい…あ、あれ?」

さすがに、どんぐりの足ではぶかぶかだったので、舞とえんぴつは、どんぐりに目でやめろと訴えかけた。
その視線を背中越しに感じたどんぐりは、倫子顔負けの真っ赤な顔をしながらそ~っと靴から足を脱ぐと、恥ずかしさを紛らわすかの様に、

「そうよそうよ!」

と言い続けた。