Shyなtownのりんご姫!

「と、ところで、シンデレラ、今日の夕食の準備はどうしないといけないか、この義姉達に確認しているの?
お前達、まだならこの娘に教えておやり!」

えんぴつとどんぐりは、二人がかりで倫子を攻撃するが、これも倫子は難なくかわしてしまう。

―な・ま・い・き~―

そんな倫子の活躍に、舞は焦りを覚えていた。
一方、体育館の入口近く、最後列で、その倫子の活躍を頼もしそうに見つめていた少年が一人いた。
レザージャケットに身を包み、手には指輪、金髪頭で、耳にはピアス。椿野要であった。

―いい感じじゃん、倫子ちゃん。うん?―

観客が舞台に目を釘付けにする中、要だけは、その舞台にある異変が起りつつある、とある方角を見つめていた。
体育館の端の観客通路を通って、王子様役の男子が、演劇部の部員に肩を貸してもらいながら、外へ出ようとしていたのだ。
王子様役の生徒―拓海君―の顔色が悪い。それを見た要は、妙な胸騒ぎを覚えた。