実行委員から、今回、一年三組が演じるアドリブ劇のお題が発表された。

「今回、あなた方に演じてもらうのは、『シンデレラ』です!」

そして、それぞれの役が割り当てられていく中、最後まで倫子と舞の名前が呼ばれない。残る役柄は、シンデレラ、そして、そのシンデレラをいじめる継母役だけ。
倫子は、何としてでもシンデレラ役をやりたいと思っていた。
毎日続いた放課後の練習。内気な倫子が、自分を表現する事の大変さ、少しずつそれができる様になっていった喜び。
何より、今日まで練習に付き合ってくれた要に対して、ここでシンデレラ役を射止めないわけにはいかなかった。

―ここまで、自分の名前が呼ばれなかったんだもの。絶対、シンデレラ役、譲りたくない!―

今まで見せたことのないくらい気迫のこもったまなざしで、隣りにいる舞を見つめた。

そして、実行委員から、残る役柄が発表された。