そして、とうとう終業時間が…やって来てしまった。


みんな、次々と帰って行く。


残業組が、全員帰るのを待ってから…


私は、社長室に呼ばれた。


樹さんは、少し離れて黙って椅子に座ってる。


樹さんが残ることを、きっと柊君は受け入れてるんだろう…


ゆっくりと…柊君が私に近づいて来る。


この空間の空気が張り詰める。


私の前に、柊君が立って…


そして…


話し始めた。


『柚葉…昨日は驚かせてごめんね。でも、僕の気持ちはやっぱり変わらない。僕は…柚葉が好きだ。愛してるから…だから、結婚して欲しい』


柊君は、真剣だった。


…と、思う。


愛してるから、結婚して欲しい…


その言葉は、柊君がプロポーズの時に言ってくれた言葉だ。


付き合って1年半後の私の誕生日に、柊君がプレゼントしてくれた大切な言葉。


あの時、私は、本当に体が震えるくらい嬉しかったんだ。