スマホを握りしめたまま、私は顔をテーブルに伏せた。


柊君が、選んでくれたドレス。


それを着て今日結婚式をするはずだった。


でも、もう、このドレス…


2度と着ることはないんだ。


私、これから先、誰かと幸せな結婚が出来るのかな?


何だかもう私は、一生幸せになれないような気がした。


2人とも笑顔のこの写真…


持ってても仕方ない…


見たら…つらくなるだけだしね。


悲しいけど…


消してしまおう。


削除しますか?


はい、いいえ。


私は「はい」の文字の上を、震える指でタッチした。


これからは、柊君とのことを日記に書けないし、大切だった写真も消した…


なのに、涙だけは、毎日毎日どんどん作られていく。


泣いても、泣いても…


溢れてくる。


いったい、いつになれば、私は柊君のこと全部忘れられるんだろう…