私は、思い切ってボールを投げた。


そしたら、樹さんのアドバイスのおかげでスペアが取れたんだ。


嬉しくて、思わず飛び上がってしまった。


樹さんは座ってたイスから立ち上がって、私とハイタッチしてくれた。


思わず2人とも笑顔になった。


嫌なことを一瞬、全て、忘れられた気がした。


少しでも私を和ませようと、樹さんは必死に考えてくれたんだろうな…


双子の兄がしたことの…


罪滅ぼし…かな。


樹さんは、何も悪くないのに…


本当に…ありがとう。


感謝…してる。


『次もストライク』


私を見ながら、そうやって自分で宣言して樹さんはボールを投げた。


気づいたら、隣のレーンの4人組の女性達も樹さんのことを応援しだした。


自分達のゲームそっちのけで。


そして、宣言通りのストライク。


自然に笑顔のハイタッチ。


隣の女子達も、大拍手でキャーキャー言ってる。