落ち着け。冷静になれ。


 千柳さんを
 人間だと思うからイラつくんだ。

 宇宙人と思えばいい。


 
 僕はこの世界で唯一、
 宇宙人に料理を教える
 ラッキーな地球人で。


 日本語が通じる分、
 まだいい方じゃないか!!




 僕の頭の中に
 こんな妄想がはびこること自体、
 いつもの僕は許せないんだけど。


 僕のムカムカバロメーターを鎮めるため
 突飛な妄想に頼るしかない。




 僕は卵をボールに割入れ、
 今できる最大限の笑顔を添え
 千柳さんに手渡した。