「僕の代わりに、
 今から千柳さんが怒られてきてね」



「…………え?」


「直前で、僕のお披露目ライブを
 することになったでしょ。
 『お説教はライブの後でするから』って、
 マネージャー言ってたから」


「僕、怒られたくないし」と、
 俺に背を向けた天音に続き。


「俺も、パス。
 だってマネージャーがキレると、
 般若に襲われてんの?って錯覚するほど
 怖いからな」

 と、綺月もロッカーの方に歩き出した。



 お兄さんも、
 マネージャーに怒られるのは
 嫌いなんだけどな……



 でも、
 氷牙が楽屋に戻ってこないってことは。

 一人でマネージャーに
 絞られているってことだよね?



 誤解を解いてくれた二人のことは
 感謝しているし。

 可愛くて生意気なこの子たちの分まで、
 怒られてくるか。



 俺は大事な雪那クッションを
 思いっきり抱きしめると。

 俺の椅子に置いて、楽屋を後にした。


            ☆初めての握手会 おしまい☆