部屋をぐるりと見渡して、俺は部屋に唯一あった鏡に目を留めた。チェストの上部に取り付けられた鏡は上半身まで映すサイズのものだ。
それを見た瞬間、これしかないと思った。
俺は早速、鏡の前に立った。鏡の中の自分は緊張した面持ちでたたずんでいる。
試しに鏡の自分に向かって引きつった笑みを向ける。
「エ……エステリーゼ。きれいだよ」
言った後で悶絶しそうになった。
(幼子でもあるまいし、もっと他にいい表現があるだろう……!?)
稚拙な表現に、耳まで真っ赤になっているのが鏡を見なくてもわかる。
貴族は口が回らねば社交界から弾き出される。社交辞令として相手を褒めるのも礼儀作法の一環だ。ヴァージル公爵家の教育により、息を吸うように相手を賞賛するのはお手の物。
そのはずだった。
しかし、エステリーゼにうわべだけの褒め言葉を言うことだけは許容できなかった。彼女に見え透いたお世辞を言っても喜んでもらえるとは思えなかった。
彼女には誠実でありたい。そう思ったからこそ、今の素直になれない自分がいるわけだが。
(ともかく、もっと年齢相応な褒め方にしなくては……)
ふーっと息を吐き出してから俺は練習を続ける。
「エステリーゼ……君は綺麗だ。どんな宝石も君の前にでは見劣りするに違いない」
考え得る限りの一番の褒め言葉を口にしてみたが、棒読みになってしまった。
それを見た瞬間、これしかないと思った。
俺は早速、鏡の前に立った。鏡の中の自分は緊張した面持ちでたたずんでいる。
試しに鏡の自分に向かって引きつった笑みを向ける。
「エ……エステリーゼ。きれいだよ」
言った後で悶絶しそうになった。
(幼子でもあるまいし、もっと他にいい表現があるだろう……!?)
稚拙な表現に、耳まで真っ赤になっているのが鏡を見なくてもわかる。
貴族は口が回らねば社交界から弾き出される。社交辞令として相手を褒めるのも礼儀作法の一環だ。ヴァージル公爵家の教育により、息を吸うように相手を賞賛するのはお手の物。
そのはずだった。
しかし、エステリーゼにうわべだけの褒め言葉を言うことだけは許容できなかった。彼女に見え透いたお世辞を言っても喜んでもらえるとは思えなかった。
彼女には誠実でありたい。そう思ったからこそ、今の素直になれない自分がいるわけだが。
(ともかく、もっと年齢相応な褒め方にしなくては……)
ふーっと息を吐き出してから俺は練習を続ける。
「エステリーゼ……君は綺麗だ。どんな宝石も君の前にでは見劣りするに違いない」
考え得る限りの一番の褒め言葉を口にしてみたが、棒読みになってしまった。



