鼻の先が触れあいそうなほどの距離。これは家族の距離というより、恋人の距離だ。そこまで理解した俺は、急いで彼女から飛び退いた。
「す、すまない……。これは、その……君が心配だったから……。以後、気をつける」
「い……いえ。大丈夫ですわ。わたくしを心配してくださったのでしょう?」
「あ、ああ」
もちろんだ、という声は自然と小さくなった。
友人とはいえ、家族以外の異性に詰め寄られて怖かっただろうに、エステリーゼは小さく笑った。寛大な心で許してくれる懐の深さはありがたいが、今度からは気をつけなくては。
頭の片隅で、紳士的な距離を保つのも大変だなとぼやいた。
年齢を重ねるにつれて、エステリーゼは瑞々しい美貌にますます磨きがかかっていた。可憐な少女でありながらも時折、どこか艶っぽい動作に俺は目が釘付けになった。
何度か、他の令嬢と同じように、彼女を花に喩えて賞賛しようとした。
だが彼女の前に立つと心拍数が跳ね上がり、言うべき言葉が出てこなかった。
友人として普段の会話は辛うじてできるが、恋人に囁くような口説き文句なんて恥ずかしくて言えない。ヴァージル公爵家ともあろう男が顔を真っ赤にして、たどたどしく女性を褒める姿を誰かに見られると想像するだけで羞恥で死ねる。
(俺は……なんて情けない男なんだ……)
「す、すまない……。これは、その……君が心配だったから……。以後、気をつける」
「い……いえ。大丈夫ですわ。わたくしを心配してくださったのでしょう?」
「あ、ああ」
もちろんだ、という声は自然と小さくなった。
友人とはいえ、家族以外の異性に詰め寄られて怖かっただろうに、エステリーゼは小さく笑った。寛大な心で許してくれる懐の深さはありがたいが、今度からは気をつけなくては。
頭の片隅で、紳士的な距離を保つのも大変だなとぼやいた。
年齢を重ねるにつれて、エステリーゼは瑞々しい美貌にますます磨きがかかっていた。可憐な少女でありながらも時折、どこか艶っぽい動作に俺は目が釘付けになった。
何度か、他の令嬢と同じように、彼女を花に喩えて賞賛しようとした。
だが彼女の前に立つと心拍数が跳ね上がり、言うべき言葉が出てこなかった。
友人として普段の会話は辛うじてできるが、恋人に囁くような口説き文句なんて恥ずかしくて言えない。ヴァージル公爵家ともあろう男が顔を真っ赤にして、たどたどしく女性を褒める姿を誰かに見られると想像するだけで羞恥で死ねる。
(俺は……なんて情けない男なんだ……)



