逆行令嬢は元婚約者の素顔を知る【2/14 後日談追加】

「……ジュードまで同じことを言うのですか?」
「当たり前だ。怪我に小さいも大きいもない。俺だって君が心配だ」
「ジュードがわたくしを……?」

 なぜか訝しげに返され、俺は反射的に彼女の両手をその上から包み込んだ。万が一にも俺から視線を外されないように、そのままぐいっと顔を近づける。

「別に何も不思議ではないだろう。友人なのだから。どうか俺にも心配させてくれ」
「…………」
「もし傷が残ったらどうするんだ。これからは危ない真似はしないでほしい」
「わ、わかりましたから! それ以上、その整った顔を近づけないでくださいませ!?」
「――――では、約束してくれるのだな? 今後は怪我をしないように最大限注意してくれると」
「し、します。約束しますから!」

 半ば強引に彼女の口から承諾の言葉を聞き、ほっと息をつく。そして、エステリーゼの顔が熟れた果実のように赤くなっているのに遅れて気づく。
 その原因を考えて、俺はようやく自分の過ちに気づいた。

(しまった……)

 自分を大事にしようとしない彼女の言動に、つい無意識に詰め寄ってしまった。
 エステリーゼの身に何かあったらと想像するだけで背筋が凍る。だから、少々投げやりな彼女の態度をどうしても改めてほしかったのだ。
 とはいえ、この距離はマズい。