逆行令嬢は元婚約者の素顔を知る【2/14 後日談追加】

 たまに、彼女は大人びた表情をして遠くを見つめている。まるで永遠に会えない家族を偲んだような、そんな愁いを含んだ眼差しだった。

 その横顔が脳裏に焼き付き、何日経っても忘れられない。

 それからの俺は、なんとかエステリーゼを喜ばせたくて、毎回手土産を持っていった。
 店員から勧められる品物と彼女の好みを照らし合わせ、一番彼女が喜びそうなものを選んでいく。包装紙やリボンの色にもこだわった。
 毎回同じ物ばかりでは呆れられると思い、季節ごとの花だけではなく、焼き菓子や隣国から取り寄せたチョコレート、少数しか印刷されない絶版の初版本なども贈った。
 彼女の贈り物に関して、人任せにする気になれなかった。この数ヶ月の間で、彼女の好みはだいぶ理解できるようになったと思う。

(どうやら今回のチョコレートは気に入ったようだな……)

 箱には、宝石のようにカラフルなチョコレートが一粒ずつ並んでいる。一目見てエステリーゼが喜びそうだと思って衝動的に買ったのだ。
 最近は商品を見るたび「エステリーゼは気に入るだろうか」と考えてしまう癖がついてしまった。少し前までは贈り物を選ぶ時間も億劫だったが、今は彼女の好みのものがあれば、無意識に手に取るまでになった。
 贈り物効果もあるのだろう。友人として許される距離は少し変わった気がするが、本音を言えば、もっと距離を縮めて彼女のそばにいたい。