逆行令嬢は元婚約者の素顔を知る【2/14 後日談追加】

 エステリーゼは迷惑そうな表情を隠そうともせず、勢いよく振り返った。

「またですか!? その話はもうとっくに……。というか、急に後ろから声をかけないでくださいっ。心臓に悪いです」
「俺の何が不満なのか、教えてくれ。君好みに生まれ変わってみせるから!」

 必死に言うと、エステリーゼは呆れたように長いため息をついた。

「別に変わってもらわなくてもいいです。ジュードには他のご令嬢がお似合いです。わたくしのことは、どうかこの先も友人として見てください」

 この先も友人として、という断り文句はいつも彼女が決まって言う台詞だ。

(なぜだ。どうして俺は友人以上として見てもらえない……!?)

 エステリーゼはもう用はないとばかりに、さっさと背を向けて、ひらりと片手を振る。
 そのまま立ち去ろうとするので、俺は無我夢中で駆け出して彼女の腕をつかんだ。

「俺は! 他の誰でもなく! 君がいいんだ!」

 必死に言い募ると、エステリーゼはぽかんとした顔から一転し、さっと頬を染めた。
 ここ最近は冷たくあしらわれることが多かったせいか、彼女が恥ずかしそうに顔を赤らめていることに動揺してしまう。ギュッとつかんでいた手からも、つい力が抜ける。

「……そ、そんなことを大声で叫ばないでください……! 何度言われても、婚約はいたしませんから!」
「待て! まだ話は終わっていない!」