(何か間違ったことを言っただろうか……? それとも、俺がダンスに誘うのはマズかったか? いや、まさか……そんなはずは……)
ぐるぐると嫌な妄想が頭を駆け巡る。
お互い婚約者もいない者同士。若い男女がダンスをするなんて別段珍しくないはずだ。
「はい。……喜んで」
形式的な言葉とともに、おずおずと彼女の指先が俺の手の上に載せる。
落ち着いたように見えていたが、やはり彼女も少なからず気を張り詰めていたのだろう。
できるだけエステリーゼの負担を軽くしようと、俺は彼女が踊りやすいようにリードして会場内をくるくるとステップを踏みながら移動していく。
そして、曲が終わる。お互い礼をすればダンスは終わりだ。
長いようで短い幸せの時間はあっけなく終わり、それを待ち構えていたように、横から割り込んできた数人の男が次のダンスの相手に名乗り出る。その中から一番純朴そうな人物の手を取り、エステリーゼは再びダンスの輪に入っていく。
「…………行ってしまったか」
婚約者ではない男と何度も踊るのはマナー違反だ。
他の男が彼女にダンスを誘うのを止める資格は今の俺にはない。それがとても歯がゆかった。ただの友人にすぎない俺は、せいぜい一回相手してもらえばいいほうだ。
もどかしい思いに駆られながら、彼女の後ろ姿を目で追う。
胸に巣くうのは狂おしい熱情。
(……好きだ)
ぐるぐると嫌な妄想が頭を駆け巡る。
お互い婚約者もいない者同士。若い男女がダンスをするなんて別段珍しくないはずだ。
「はい。……喜んで」
形式的な言葉とともに、おずおずと彼女の指先が俺の手の上に載せる。
落ち着いたように見えていたが、やはり彼女も少なからず気を張り詰めていたのだろう。
できるだけエステリーゼの負担を軽くしようと、俺は彼女が踊りやすいようにリードして会場内をくるくるとステップを踏みながら移動していく。
そして、曲が終わる。お互い礼をすればダンスは終わりだ。
長いようで短い幸せの時間はあっけなく終わり、それを待ち構えていたように、横から割り込んできた数人の男が次のダンスの相手に名乗り出る。その中から一番純朴そうな人物の手を取り、エステリーゼは再びダンスの輪に入っていく。
「…………行ってしまったか」
婚約者ではない男と何度も踊るのはマナー違反だ。
他の男が彼女にダンスを誘うのを止める資格は今の俺にはない。それがとても歯がゆかった。ただの友人にすぎない俺は、せいぜい一回相手してもらえばいいほうだ。
もどかしい思いに駆られながら、彼女の後ろ姿を目で追う。
胸に巣くうのは狂おしい熱情。
(……好きだ)



