「……果たして俺が誘ってもいいのだろうか」
「何を言っているんだよ。親しい友人なら平気だって! ほら、行ってこいよ。じゃないと、悪い虫がすぐ寄ってくるぞ」
ぐいぐいと背中を押され、俺はゆっくり彼女の元に近づいた。
磨き上げられた大理石の床に俺の靴音が響く。だが、会場内を満たすオーケストラの春の音色によって、靴音ですら曲の一部のように思わせる宮廷楽団の腕は一流だ。
とはいえ、間近で靴音が近づいてきたら嫌でも気づくだろう。
案の定、エステリーゼがふっとこちらを向いた。
「あら、ジュード。こんなところで奇遇ですね」
「……ああ」
友人らしい会話だ。何もおかしくない。
とはいえ、まったく緊張されないのもどうなのだろう。彼女は親類に向けるようなリラックスした表情だった。異性として見られていないのは明白だ。
(……いや、悪い方向に考えるのはやめよう。親しい証しだと思えばいいじゃないか)
自分を鼓舞する。薄く息を吸い込んでから俺は腰を低くし、女神に許しを請うように片手を彼女の前に差し出す。
ありったけの勇気を振り絞り、紳士らしく彼女にダンスの申し込みをした。
「エステリーゼ。どうか、次は俺と踊っていただけないだろうか?」
「…………」
「……エステリーゼ?」
ぽかん、とした表情に俺は内心戸惑った。
「何を言っているんだよ。親しい友人なら平気だって! ほら、行ってこいよ。じゃないと、悪い虫がすぐ寄ってくるぞ」
ぐいぐいと背中を押され、俺はゆっくり彼女の元に近づいた。
磨き上げられた大理石の床に俺の靴音が響く。だが、会場内を満たすオーケストラの春の音色によって、靴音ですら曲の一部のように思わせる宮廷楽団の腕は一流だ。
とはいえ、間近で靴音が近づいてきたら嫌でも気づくだろう。
案の定、エステリーゼがふっとこちらを向いた。
「あら、ジュード。こんなところで奇遇ですね」
「……ああ」
友人らしい会話だ。何もおかしくない。
とはいえ、まったく緊張されないのもどうなのだろう。彼女は親類に向けるようなリラックスした表情だった。異性として見られていないのは明白だ。
(……いや、悪い方向に考えるのはやめよう。親しい証しだと思えばいいじゃないか)
自分を鼓舞する。薄く息を吸い込んでから俺は腰を低くし、女神に許しを請うように片手を彼女の前に差し出す。
ありったけの勇気を振り絞り、紳士らしく彼女にダンスの申し込みをした。
「エステリーゼ。どうか、次は俺と踊っていただけないだろうか?」
「…………」
「……エステリーゼ?」
ぽかん、とした表情に俺は内心戸惑った。



