左に流していた前髪を逆向きに編み込んだやら、爪の色が変わったやら、前回とは違う流行色を取り入れたドレスデザインやら、昔の自分なら絶対に気づかなかっただろう。
少しでもエステリーゼと仲良くなりたいと思って身に付けたスキルだ。不躾にならない程度に彼女をつぶさに観察していたら、リボンの色が違うこと、髪を結ぶ位置が高くなっていることに気がついた。
そのことを指摘すると、彼女は驚愕した表情を見せた後、嬉しそうに破顔した。
それからの俺は細かい変化を見逃さないように、注意深く観察するようになった。最初は会話の糸口になればと考えていたが、こんなことぐらいで喜んでくれるのならば、何度でもやりたいと思った。
とはいえ、女性の細かい変化に気づくことは、ある種の特訓が必要だった。
褒めていいところと、気づいてもあえて気づかないふりをすること、直接言うのではなく侍女や従者を通してこっそり教えること、いろんなやり方をキールから教わった。
(困ったな。エステリーゼをダンスに誘いたかったのだが……)
四方八方に女性に囲まれている中、脱出は困難だ。
次期公爵として話を誠実に耳を傾け、同調する。過度に密着してくる令嬢とはやんわりと距離を取り、彼女の領地の話題を出す。
すると興奮していた彼女たちも徐々に冷静になり、やがておとなしくなっていく。彼女たちだって腐っても貴族令嬢。引き際は弁えている。
少しでもエステリーゼと仲良くなりたいと思って身に付けたスキルだ。不躾にならない程度に彼女をつぶさに観察していたら、リボンの色が違うこと、髪を結ぶ位置が高くなっていることに気がついた。
そのことを指摘すると、彼女は驚愕した表情を見せた後、嬉しそうに破顔した。
それからの俺は細かい変化を見逃さないように、注意深く観察するようになった。最初は会話の糸口になればと考えていたが、こんなことぐらいで喜んでくれるのならば、何度でもやりたいと思った。
とはいえ、女性の細かい変化に気づくことは、ある種の特訓が必要だった。
褒めていいところと、気づいてもあえて気づかないふりをすること、直接言うのではなく侍女や従者を通してこっそり教えること、いろんなやり方をキールから教わった。
(困ったな。エステリーゼをダンスに誘いたかったのだが……)
四方八方に女性に囲まれている中、脱出は困難だ。
次期公爵として話を誠実に耳を傾け、同調する。過度に密着してくる令嬢とはやんわりと距離を取り、彼女の領地の話題を出す。
すると興奮していた彼女たちも徐々に冷静になり、やがておとなしくなっていく。彼女たちだって腐っても貴族令嬢。引き際は弁えている。



