「二度と逃がさないと言っただろう。諦めろ、エマ」


黙ったまま未だに涙を流し続ける私におかしそうにレオが笑う。もうあの頃のレオはどこにもいない。


「最初から逃げ出さなければ僕たちはアナタに喜んで囚われていたのに。ああ、僕のかわいそうなエマ。ずぅとここで愛し合おうね」


後ろから私を抱きしめるリアムがくすりと笑って手に力を入る。リアムもまたもうあの頃のリアムではない。


「エマ、僕がエマをここでずっと可愛がってあげるからね。だから早く僕の所へ堕ちてきて」


仄暗い笑みを浮かべるルークが私の頬へ優しく触れる。ルークももうあの頃のルークではない。

今度はルークが私にキスを落とす。
するりとルークの舌が私の口内へ侵入するのと同時に私の涙も口の中へ入りほんのりと涙の味がした。


みんな狂っている。
それはきっと私もだ。


「…あ、いして、ずっと」


ルークからのキスが終わると私は途切れ途切れになりながらも自分の意思を彼らに伝えた。


私ももう狂ってしまった。
彼らから狂おしい程愛されるこの空間が心地いい。
きっともう私も彼らを求めずにはいられない。


「もちろんだよ、エマ」


後ろから今度はリアムが私にキスをする。
リアムもルークもレオも。そして私も。
みんな幸せそうに仄暗い笑みを浮かべた。


今日もまた私はこの大きな檻に囚われる。
もう二度と逃げられない。だが私自身ここから逃げ出すつもりもない。

終わらない、醒めない夢をここで永遠と見続ける。
彼らと共に。いつまでも。



end.