何故、こんなことになったのだろうか。何故、全てを持っていた私は全てを失い、私を恨んでいたはずの彼らにこうやって深く愛されているのか。何故、彼らはあの頃と変わらない日常を繰り返しているのか。
日が沈みきっていない薄暗い部屋でなんの力もない私はただ彼らに抵抗もできず、なすがままだ。

わからないことばかりだが、ここ数ヶ月間、彼らと共に過ごしてきてわかったことがある。
それは彼らは確かに壊れて狂っているが同時に私を狂おしい程愛しているということだ。

あの時、彼らのこの狂った愛を信じて逃げ出さなければこんなことにはなっていなかったのだろうか。
またあの夢のような日々がただ永遠と繰り返されていたのだろうか。


気がつけば何故か涙が溢れていた。


「…ん、泣いてももうエマを解放するつもりはないから」


私の涙にすぐに気がついたレオが一度口付けをやめて皮肉げに私に笑う。


「…これがある限りお前はどこにも行けない。俺に囚われたままだ」


ぐいっとレオが私の首に付けられているブラックオパールのネックレスを人差し指で引っ張る。
このネックレスはレオが魔術を込めたもので私がレオにルビーのピアスを付けたようにレオは私にこれを付けた。
このネックレスに込められている魔術は私の行動の制約と魔術の力の再封印。
何かのきっかで記憶のように元に戻らないようにレオが再度私の力を封印した。そして行動の制約とは文字通りで、このネックレスがある限り私はこの部屋から出られず、もし出たい場合はリアム、ルーク、レオの許しと、この3人の内誰かと部屋の外へいる間は身体的な接触をしていなければならない。
なのでこの部屋から出る時はいつも誰かと手を繋いでいた。

もちろんこのネックレスは私がレオに付けたピアスのように自分では取り外しは不可能であり、彼らには隙がなく私は彼らからもう二度と逃げられない。