「…はぁ」


バクバクとうるさい心臓を沈める為にとりあえず息を吐く。

大丈夫、落ち着いて。
私は逃亡に成功した。あれから一年は経ったはずだ。
それだけ経てば彼らだって目を覚ます。私に狂わされていたのだと正気に戻って元の生活を謳歌しているだろう。

記憶を思い出してしまった以外今のところ何の落ち度もない。私の魔術は今も封印されているし、私を見つけられる訳がないのだ。

それでも何故か鳴り止まない心臓を落ち着かせようと心臓の辺りを握りしめた時だった。

パァァと眩い光がリビングいっぱいに溢れたのは。


「…っ」


魔術だ。
私はその眩しい光に目を細めながらもすぐそう理解した。

そして光が消えるとその中から見覚えのある3人の人物が現れた。リアムとルークとレオだ。


「やあ、エマ。探したよ」


まずはリアムが甘い笑みを私に向けた。


「エマ、やっと会えれたね」


それからルークが愛らしく笑う。


「会いたかった、エマ」


そしてレオが嬉しそう笑った。

みんな目が笑っていない。
狂っていると感じたあの時のままだ。


「どうして?何故、ここへ来れたの?王族以外は異世界への渡り方を知らないはずなのに…」


困惑を隠せないまま私はすぐに疑問を口にする。