レオもまた私に壊された。
追い詰められて、壊れて、そして狂った。
リアムとルークと同じようにそうするしかなかった。
しかし何故レオは私が謝罪しようとしていたことが言わなくてもわかったのか。今までの私の振る舞いからは絶対に想像などできないはずなのに。
「…レオの気持ちはよくわかったわ。でも何故、レオは私が謝罪したいと思っていたことがわかったのかしら」
「知っていたからだ」
「…?知っていた?」
レオの言葉にますます訳がわからなくなり、私は眉間に皺を寄せる。
するとそんな私を見てレオは仄暗く笑った。
「エマ、お前は俺の前から消えたんだ。そうやって俺の気持ちを受け取ったフリをしてな」
「…え」
「なあ、逃げ切れると思うなよ。お前は必ず俺が見つけ出す。そしてこんな夢だけじゃなく、エマの全部を今度は俺が縛ってやる。もう二度と俺の目の前から消えないように」
いつもなら見せないレオのその笑みに静かな怒りを感じる。
レオの言っている意味が先程から全然わからないのにどこか引っかかってしょうがないのは何故なのか。
何か大事なことを見落としている。いや、忘れている。
「もうすぐだ。もう迎えに行くから。エマ。俺のエマ。愛している。だから早く夢から覚めてくれ」
レオが仄暗く笑う。
私の頭の中で警報がけたたましく鳴り響いた。
この夢から早く逃げなければならないと。



