「…恨んでねぇよ、もう」
するとレオは私をまっすぐ見つめて私の望まない言葉を吐いた。
「嘘よ」
「嘘じゃねぇ」
「嘘よ!そうでなければおかしいじゃない!アナタは私にどれほどの仕打ちを…」
「嘘じゃねぇって言ってんだろ」
私は冷静さを忘れてレオの言葉を否定する。だかレオもそんな私の言葉を静かに否定した。
「最初はそうだったかもしれない。でもここでの生活はエマが思っている以上に俺にとっては悪くねぇよ。魔術も好きなだけ研究できるし、力を抑えられていると言ってもエマより少し弱いだけで不自由な訳でもねぇ。それにここにはエマがいるだろ」
「…え」
私が、いる?
「俺は産まれた時から強すぎる力を持っていた。だからすぐに両親には捨てられたし、専門学校へ通うまでは人には言いたくないような人生も送ってきた。俺は産まれてからずっと孤独だった。けど、最初から孤独な俺はその孤独の意味もわからずただ孤独なまま生きてきた。それでよかった。よかったはずなのに。エマが俺を愛してしまったから。エマが俺と一緒にいてくれたから。俺は初めて人の温もりや繋がりを知り、寂しいという思いを知った。そして本当の意味で、孤独を知ってしまった」
レオが私を強く見つめる。
「もう俺はエマから離れられないんだよ。もう孤独だった頃の俺には戻れない。愛しているんだ、エマ。エマも俺と同じように孤独だというのなら今度は俺がエマがしてくれたようにエマの孤独を埋めよう。俺の愛で」
嘘だと今すぐ言って欲しかった。
仄暗いながらも真剣な表情で私に思いを伝えたレオの言葉に嘘はきっとない。だからこそ私の胸がまた引き裂かれそうな程痛む。