「…あぁ、そう何度も言わないで欲しいな」


リアムが辛そうに下を向く。両手は力強く握りしめられており、とてもじゃないが嬉しそうには見えない。

どういうこと?


「恨んでいたよ、アナタのこと。ずっと恨んでいた。僕から王子という肩書きを無理やり奪って、軟禁されて。僕はアナタに気に入られていつかアナタを殺そうとまでした。だけどね、僕はアナタに絆された」


リアムがゆっくりと顔を上げて私を見つめる。


「僕は1番にずっとなれなかった。どんなに優秀でも王位継承権は僕のものにはならない。何でもできたけど何も極められない。だけどエマは僕に1番をくれた。僕を強く求めて愛してくれた。僕はね、アナタをずっと見てきたからアナタの愛に対してのコンプレックスもよくわかったよ。だから寂しいエマを今度は僕が愛してあげたいと思ったんだ」


そしてリアムは仄暗い笑みを浮かべながら訳のわからないことを私に言った。

理解が追いつかない。リアムが私を恨んでいない訳がないのに。こんなこと絶対におかしい。狂っている。

現に目の前にいるリアムの様子が明らかにおかしいかった。瞳には光がなく、笑っているがその感情が正しいのかわからない。

彼は壊れてしまったんだ。そして狂ってしまった。
そうしなければここでは正気を保っていられなかった。
軟禁されて愛してもいない相手に愛を強要されて。そんな状況で狂わない人間なんているのだろうか。

私は遅かったのか。