そんなレオの様子に満足しているとあっという間にレオはチョコレートを舐め終えた。なので私は名残惜しいと思いながらも手を引こうとした。したのだが。


「…エマ」


それは切なげに私の名前を呼ぶレオに阻止されてしまった。レオが私の手を両手で優しく包み込む。


「愛している。俺にはエマだけだ」

「そう。私も愛しているわ、レオ」


熱っぽい瞳で私を見つめるレオに私は満足げに笑う。
レオもまた私にこうして愛を囁くほかないのだ。


「俺はずっとエマを愛し続ける。ずっと側にいる。だからエマも俺だけを愛して欲しい。俺だけのものになって欲しい」

「素敵ね。でもそれはできないわ。私は誰のものにもなるつもりはないもの。だけどアナタの望み通り愛は囁いてあげる」


切なげにレオが私に懇願する。だが、私はその懇願を聞き入れなかった。


「エマはいつだって残酷だ」

「あら?今更ね?そんな私は愛せない?」

「…愛している、憎らしい程に」


苦しそうなレオに対して私はおかしそうにそして何よりも愛おしそうにレオを見つめる。
するとレオはより一層表情を歪めて私を見つめた。
だが、それでもレオは私から目を逸らそうとしようとしなかった。


かわいそうなレオ。
私に愛を囁くことがどれほどの苦痛なのだろうか。
レオはきちんと私に想いを伝えている。
愛している、そして本当は私が憎らしいと。

リアムもルークもかわいそうだ。
私に強制的に囚われて、自由を奪われ、軟禁され愛を強要される。

夢だからどうでもいいと思っていた。私が楽しめられるのならそれでいいと。

だが、私は彼らに情でも湧いたのか、今の状況で愛を囁くしかない彼らに同情してしまった。