今日も何事もなく1日が終わった。
私の生活は全て夢が中心だ。今日も甘美な夢を見る為に私は全てを早く済ませて布団へ入った。

そして彼らに会えることを楽しみにしながら意識を手放した。



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「おい!エマ!聞いているのか?」

「…っ」


夢の中で意識が覚醒する。
私の目の前にはレオがいた。レオは眉間に皺を寄せて私を見つめている。

レオの後ろに広がるのは様々な珍しい植物たちと魔術の実験をする為に整えられた設備たち。私とレオは2人で向かい合うように立っていた。

この状況からして私は今宮殿内にあるレオの為に私が用意した、魔術研究室件、植物園の中でレオと魔術の研究でもしていたのだろう。

レオは魔術が大好きだ。なので私は大好きな魔術について不自由なく研究できるように、元々あった植物園をレオの為に改造させ、この部屋をレオに与えた。
全ては魔術に触れるレオを見る為に。


「聞いていなかったわ」

「…はぁ、そんなことだろうと思った」


素直に聞いていなかったことをレオに伝えるとレオは呆れたように私を見つめた。
仕方ないだろう。今覚醒したばかりなのだから。


「聞くよりも見る方が早いな」


レオはそう言うと両手で何かを包み込むように丸を作った。するとそこから赤い光が溢れ、その光が何かの形に変化し始めた。
そしてそれは真っ赤な薔薇になってレオの手の中に現れた。

何と鮮やかで毒々しい赤なのだろう。