「同じようなものじゃない?それとも言い訳する?」


オフィスの様子を見ながら未だに意地悪くカオリさんが笑う。
その顔は言い訳…夢だと私がみんなに言えないことをわかっている顔だ。

夢だと言えばもっと悪い印象になる。遊び人から頭がおかしい人に降格だ。
そもそも今夢だと主張できていたら、カオリさんにこの夢のことをもっと早く打ち明けていた。
半年以上も秘密になどしなかった。


「…しませんよ。でも飲みにも行けません」

「あら〜。早く恋人たちに会いたいのね」

「そんな所です」


開き直ってカオリさんに笑いながら返事をするとますます意地悪そうにカオリさんがそう言ってきたので私は素直に肯定した。

早く会いたいことは間違いではないし、真実だ。


私とカオリさんの会話に聞き耳を立てていたオフィス内は私たちの会話を聞くとまたざわざわと騒ぎ始めた。
どうせくだらないことを言っているのだろうから内容は右から左に流させてもらう。


「まるで現実の恋人ね」

「違いますよ」

「ふふ。まだ否定するんだ。こんなにもエマちゃんに影響を与えている存在なのに」


楽しそうに笑うカオリさんの言葉を私は今度は肯定せず、否定する。それでもカオリさんは楽しそうなままだ。


確かに彼らは私に影響を与えている。
彼らのおかげで私は綺麗になっているようだし、何より生活が変わった。

あの夢が見たくて、彼らに今すぐ会いたくて、私は寝ることを何よりも優先するようになっていた。


「まぁいいわ。もっとエマちゃんの甘いお話を聞かせてね」

「もちろんですよ。話したいことはいっぱいあります」

「やったぁ。どんなドラマよりも今は1番エマちゃんの話が気になってて楽しいのよー」


カオリさんは変わらず楽しそうに私に笑った。
私はそんなカオリさんに定時まで帰る準備をしながら夢での恋人たちとの話をしたのであった。