そう返事が来たときは、とても嬉しかった。

 顔だって名前だって知らない。

 だけどこの人は、私のことをよく知っている。

 知った上で、褒めてくれている。

 だけど優しいのは私じゃない。

 あなたの方だよ。

 ――あなたの病気は大丈夫なんだろうか。

 ノート越しの彼の優しさに触れて、ずっと心で引っかかっていたことが急にとても心配になった。

 ノートに返事をしてくれているから、そこまで悪い病ではないんだろうって勝手に思っていた。

 だけどよく考えたら、好きな人を諦めなくてはいけない状況になるくらいの病気に彼はかかっているんだ。

 本当は、ずっとこの人に会いたかった。

 直接会って話して、友達になりたいって思ってた。

 だけど、それを言うのはタブーなんじゃないかってなんとなく思っていた。

 正体を知らないからこそ、ノートの上で本音を言い合えるんじゃないかって。

 もし実際に会ってしまったら、この関係が壊れてしまうんじゃないかって。

 でもどうしても会いたくなってしまった。

 私のことを分かってくれる彼に。