「何食べる?」

「てか、ここ、何があるの? あ、私、好き嫌いないよ」

 亜矢と梨乃がレジから戻ってきて、会話に加わった。
 エレベーターに移動しながら話すのは、昼食のこと。

「何でもあるみたいだよ。ほら」

 と、飲食店リストの載ったスマホの画面をちらりと見せる。

「うわー。志穂ちゃん、気合入ってるねー!」

 店名や種類(和食とか中華とか)、オススメ料理に平均単価やお店の雰囲気まで書かれたリストを見て、梨乃がスマホに手を伸ばす。

「え? 違う違う。もらいものだよ」

 もちろん、送ってくれたのは叶太くんだ。
 一応、出所は内緒にしておく約束になってる。陽菜が気にするからね。

 だけど、

「誰から?」

 と聞かれて、思わずにやけると亜矢が察したように、

「あー。なるほどねー。うん。ホント、過保護だねー。いや、愛だねー」

 と笑った。



 結局、私たちが入ったのは叶太くん一押しの飲茶のお店。
 雰囲気も良いし、とても美味しそう。

 そして、陽菜は叶太くんの予想通り、中華がゆを頼んでいた。さすが叶太くん!