「ねえねえ、これとかどうかな?」

「デパートまで来て、なんでチロル詰め合わせ!?」

「や、お兄ちゃんたち、質より量かなーって?」

 梨乃が少し恥ずかしそうに、へへっと笑った。

「梨乃のお兄ちゃんって、高校生と大学生じゃなかったっけ?」

「やっぱダメ?」

「もっと良いの買ってあげなよー」

 亜矢が呆れたように、

「他にも幾らでも良いのあるじゃん」

 と、梨乃の腕を引く。

「はいはい。義理チョココーナーはおしまい。本命コーナー行くよー」

「えー。私たちは義理チョコ買いに来たんじゃん」