「で、告白はどっちから?」

「私から」

「だよねー」

 どういう意味だ。



「羽鳥先輩、志穂のどこが気に入ったんだろう?」

「わかんない。あ、でも、面白いって言われるよ」

 そう言うと、亜矢と梨乃がふき出した。



「ねえねえ、デートとかするの?」

「え、まだ、外で会ったのは一回だけ、かな?」

 しかも、宿題が分からなくて学校帰りに教えてもらったという……。

「うわー。できたてほやほや?」

 だから、ホント、付き合い始めてすぐに報告したんだって。
 これが夢とか冗談じゃないって実感できてからだけど。
 


「いつから、羽鳥先輩のこと好きだったの?」

「んー。気が付いたら? いつの間にかって感じかなー」

 そう言うと、何故か二人はくすぐったそうな変な顔になって、

「……志穂が女の顔してる」

 って顔を見合わせた。



「志穂ちゃん、なーんにも言わなかったよねー」

「そうそう。いつも感情ダダ洩れなくせに、なんで大事なことは隠すかなー」

 隠してたつもりはない。
 ただ、いつの間にか好きになってて、誰かに話す前に、うっかり羽鳥先輩に告白しちゃったんだよね。

 そう言うと、二人は、

「あー、熱い熱い」

「志穂、大人になったねぇ」

 とニヤニヤ笑った。



 亜矢と梨乃に散々いじられながらご飯を食べる。

 陽菜はニコニコ笑いながら私たちの会話を聞いているだけで、何も口を挟まなかった。
 だけど、会話が途切れて数秒の間ができたとき、不意に、

「しーちゃん、幸せ?」

 と私の顔を覗き込んだ。

「……うん」

 そう答えると、陽菜は嬉しそうに微笑み、亜矢と梨乃からまたからかわれた。