お昼ご飯のパンを買い終わり、教室に戻るべく廊下を歩いていると隙間風がピューッと吹き込んできた。

 うー。寒っ!
 雪降るんじゃないかなぁ。

 と思って窓の外を見ると、ふわりふわりと雪が舞い始めていた。

 あー、やっぱり降り出したか。

 寒い寒いと思いながら、一歩教室に足を踏み入れるとふわっと暖かい空気に包まれた。

 生き返る~!

「しーちゃん、おかえり」

「おかえり〜」

「パン、買えた?」

 口々に出迎えられて、

「ただいまー。寒いからか、空いてて選び放題」

 と答えながら、いつものメンバーとお昼ご飯を食べるべく椅子に座る。

 叶太くんから陽菜への世紀の告白以来、二人の仲は学年どころか先生まで含めた全校公認状態。だけど、陽菜は変わらず私たちとお弁当を食べている。
 きっと、女友だちとの時間を邪魔しないようにって、叶太くんの気遣いだよね。叶太くんはいつだって、自分がどうしたいかじゃなく春菜にとって何が一番かって考えてる。ホント愛の深さが半端ない。

 三人はもうお弁当を食べ始めている。私も、と買ってきたチョコパンを袋から取り出したところで、ふと来月中旬の一大イベントを思い出した。

「ねえ、陽菜、チョコ買った?」

「チョコレート?」

「うん。バレンタインのチョコ」

「ああ」

 陽菜はニコッと笑う。
 ホント、普通にしてても十分可愛いのに、笑うと更に愛らしくなる。

「まだ、買ってないよ」