「明日菜……」
「どうしたの?」
「まださ、人と喋る事に緊張する?」



そう。ずっと一緒に居た陸斗は私の特性を知っていて、人と喋る事に慣れていない私を気遣ってくれている。

優しい人。



「うん……。考えただけで、緊張する!!」
「そか!でも、俺は大丈夫なんだろ?」
「うん。慣れている人は大丈夫!」
「そっかあ!じゃあ、これ!明日菜にあげるよ!!」



そう言って、陸斗が差し出してくれたのは透明の瓶に入ったこんぺいとう。

これは、陸斗が定期的に持って来てくれる甘い甘いお菓子。



これを見る度に、綺麗に幼い時の記憶が蘇る。



小さい時から、皆の輪の中に入れない私はいつもひとりぼっちだった。

そんな、日常を変えてくれたのは紛れも無く陸斗で__

ひとりぼっちの私に『一緒に遊ぼう』と、話し掛けてくれたのだ。



それまで、1人でだった私はお絵描きくらいしか遊びを知らない。



でも、陸斗に声を掛けられてから沢山の遊びを知った。



トランプ。
鬼ごっこ。



それは、1人で遊ぶよりもずっと魅力的で、私の心をドキドキさせてくれる。



事件は、陸斗と公園で追いかけっこをして遊んでいる時に起きた。