皆がはしゃいでる中、陸斗の横顔から目が離せずに突っ立ってしまう。



それくらい綺麗だった。何より、陸斗の横顔を見れる自分が幸せで仕方がない。



「明日菜も行こう!!」



そう言って、こちらを見た陸斗と視線がバッチリ合わさる。

恥ずかしくなって、慌てて目を逸らした瞬間、手と手が重なる。



「ほら!引っ張ってやるから、行こう!!」



繋いだ手から熱が伝わる。

それは、きっと陸斗からしたら、子供と手を繋いでいるような感覚も知れない。

でも、私はこの一瞬の動作ひとつひとつに魅入ってしまう。



少し汗ばんだ陸斗の肌。
楽しそうな笑顔。



「明日菜!足元に元気を付けて!!」
「うん……」



動きにくい浴衣で移動した場所は、土手の上。



花火が登る音が聞こえて、一瞬静寂に包まれたかと思うと、空に様々な色の花弁が浮かび上がっては消えてゆく__



綺麗だけど、美しさは一瞬で、何処か切ない。



「綺麗……」
「本当だな。明日菜に綺麗な花火見せる事が出来て良かった!」



陸斗が幸せそうな表情を見せる。



「ら……」
「ん?」
「来年も一瞬に花火が見たいな……」