『そうだね。部屋も、これからは自分たちの部屋になるんだ』


俺はウキウキとした気分で言った。


1年生になるってすごいことだ。


今までお父さんたちと一緒に寝ていたけれど、今日からは違う。


俺たちは2人だけの部屋を手に入れた。


当時幼かった俺たちにとって、6畳の部屋でも随分と広く感じられた。


まるで立派な秘密基地を与えられたようで、なかなか寝付くことができなかった。


『勉強頑張ろうね』


『うん!』


俺たちは布団から手を出して、握り合った。


明日が楽しみだね。


そう言っていたのに……。


それは夜中のことだった。


突然息苦しさを感じて俺は目を開けた。


息を吸いこもうとしてもうまくいかない。


布団を蹴飛ばして無理やりパジャマを脱いで、それでも空気が入ってこない。


俺は隣で眠っている新に手を伸ばし、その肩を必死で叩いた。