闇の夜に咲く、一輪の華

しかし私には友達と言える人が一人だけいる。
同じクラスの今田美来。

美来が入学式の日に泣いていたのを放っておけなくて話を聞いたところ、懐かれてしまった。

それでもやはり家のことは言えなかった、言えるはずがない。
時々友達でいることが怖くなることもある。

居なくなったら、彼女を傷つけることになるのは私だから。

「華月〜!おはよう!」
いつの間にか登校した美来はいつもの調子で私に挨拶する。

周りのクラスメイトに挨拶しながら、鞄を机に置き準備を始める美来は、どこにでもいる普通の高校生。私は違う。

辛い状況にいる美来には幸せになって欲しい、だからこそ私が関わって彼女の人生を狂わせてはいけない。


「おはよう。」一時間目の授業の科目の教科書を机に突っ込んだ。どうせ集中する気はない。

「相変わらず冷たいね〜!でもそこも好きだよ〜」
何も知らない美来は呑気に言う。彼女の笑顔は壊したくない。

「そう。」
いつか心の底からの笑顔で彼女と話すこと、そんな当たり前のことが私の夢だ。

感情を押し殺すために裾を強く握る癖もいつか治るだろうか。

「あ、そういえば、2組の大津くん?て人が、華月のことを呼んでたよ!美術室にいるってさ〜
華月ったらモテモテ〜!」

両手を胸の前で合わせながら、テンション高めで私に話しかけてくる美来。

今私は憂鬱そうな表情を浮かべていると思う。

入学してから毎日告白されるけど、一切恋愛に興味が無い私にとってはただの苦痛でしかない。