闇の夜に咲く、一輪の華

ガラガラガラッ──。
古い教室のドアは大きな音を立てて開いた。
立て付けの悪いドアは早く取り換えるべきだ。

教室に入った瞬間、私は本当の自分を殻に隠す。

「おはよう。」と話しかけられたら、おはようと返す。それ以上の会話はしない、必要ない。
 
 
私は生まれた時から他人とは違うと感じていた。厨二病みたいな台詞だ、でも私の感覚は間違っていなかったことを後に知る。

私の運動神経は並大抵ではないということは、物心ついたあたりには自覚していた。

小学生の時組員を背負い投げした時確信した、自分の運動能力は普通ではない。

後に父に聞いた話だが、私たち桐ヶ谷の家系は代々戦闘能力に長けているそうだ。先祖には武将もいると聞いている。

それに加え母の家系も代々王直属の兵士の家系だったらしい。それが私のこの能力の高さに影響していると思う。

こうして私達の家系は強い遺伝子を残すために、政略結婚のようなものをさせられることもある。

正直代々続くこの風習には呆れている。
私の母と父は心から愛し合っていたとわかっているからいいのだけれど、今の時代にもこのような風習が残っていることには心底うんざりしている。

私は運動能力に長けているだけでなく、反射神経も優れていたことは言うまでもないだろう。
喧嘩をすれば1人で100人分の戦闘力はゆうに超える。

このように恵まれた環境、体格に生まれた。
だからこそ私こそ使命を全うしなければならない。

ただ戦って負ければ、無事ではいられない。
怪我で済めばいいけれど死ぬかもしれない。

叔父や従兄弟のように…人間は思っていたよりも簡単に死ぬ。
ナイフなら一突きだ、毎日必死に生きているのにたったそれだけで人は死ぬ。

だから必要以上に人と仲良くしない。
誰だって大切な人を傷付けたくない。