離れない。離さない。


「…ぃ、…っ」

『いま何時?』そう言いたくて酸素マスクをずらして言葉を発しようとした時、酷い筋肉痛のような痛みがお腹に走った。

「あぁもう、無理したらダメだよっ!手術したばっかりなんだから」

旦那さんの言葉とお腹の痛みとこの情況。

…わたし、本当に手術したんだ。そして、無事に終えること出来たんだ。

麻酔からちゃんと目が覚めて、生きてるんだ。

心底ホッとしたらまた眠くなってきた。

そんなわたしに気付いた旦那さんは、

「今日はゆっくり休むんだよ?明日は仕事しなきゃいけないから、仕事終わったらまた来るよ」

そう言って柔らかく微笑んだ。

その言葉に微睡(まどろ)みながらゆっくり頷くと、そんなわたしの額に軽くキスして旦那さんは「おやすみ」と席を立った。

わたしは安心感いっぱいのまま眠りについた。



ーーー明日、まるで生き地獄のような思いを味わう事になるなんて、思いもせずに。