離れない。離さない。


「ふふっ…、すっごい緊張しているね」

「えっ…あ、はい…。しゅ、手術って、初めてで…」

「そうよね。怖いし、不安よね。でも、すぐ終わるから大丈夫よ」

麻酔室へと歩を進めながら付き添ってくれた優しそうな看護婦さんに笑われるわたし。

…他の人はこんなに緊張しないものなのかな?

自身の緊張っぷりに自分のなかでも「あれ?」ってなる。

けれど、そんな疑問なんて麻酔室へ一歩入ったとたんぶっ飛んで、再び激しい不安と緊張に襲われた。

麻酔室には中央にベッドのようなストレッチャーのような見たことがないようなものがポツンとひとつ。

ベッドを挟んで左横には点滴、右横には血圧と心拍数を計る機械があり、なんだか部屋中がほんわりと甘い香りが漂っていてハワイアンなBGMが流れていた。

わたしの顔からますます血の気がひく。

そう言えば麻酔って麻薬成分も含まれてるって言ってた…。

え、え、え?この甘い香りって、ま、ま、まさか…!!