翌日、昼を過ぎてもリリカちゃんは学校に現れなかった。

いつもと同じように騒がしい教室内。前の席にリリカちゃんがいないだけでこんなにも心細い気持ちになるなんて。

自分の中でリリカちゃんという存在が大きくなっていることを改めて実感する。

「リリカちゃん……どうしたんだろう」

ラインを送ってみたけど、既読が付かない。また寝坊だろうか。

それにしたってちょっと遅すぎる。もう一度ラインを送ってみようかとポケットの中のスマートフォンに手を伸ばした時、「あー、リリカじゃん!」と甲高い声がした。

嶋田さんと浅川さんが教室の入り口にいたリリカちゃんに駆け寄る。

リリカちゃんは二人に笑顔を向けた。でも、なぜだろう。リリカちゃんの笑顔が、私には泣いているように見えた。

「おはよー、ってもう昼過ぎか!」

私の前の席までやってくると、リリカちゃんは笑顔を浮かべた。

やっぱりそう。近くで見ても違和感を感じる。

「リリカちゃん、何かあった?」

「ないよー!なんで?」

理由はない。口ではうまく説明できそうにない。

「ごめん、ちょっと杏奈とすずんとこ行ってくるわ」

そういって駆け出していく後姿を目で追っているとき、気付いた。

リリカちゃんの細い太ももの後ろ側にピンポン玉ほどの青あざがあることに。

リリカちゃんは嶋田さんと浅川さんと3人で楽しそうに言葉を交わしている。

いつものリリカちゃんだと言われればそうかもしれない。でも、何故か妙な違和感を覚えた。