「……あっ、香田先輩だ」


「ほんとだ……って、うわぁ〜……、バンリ先輩めっちゃ笑顔じゃん」



「彼女限定かあ」




「いまも大学でモテるんだろうな。
でも、香田先輩という彼女が好きすぎるのわかるから、だれも近づけない」


「そういうの、憧れる」




「ってかさあ、」



「うん、なに?」






「誘惑じょうずなバンリ先輩をあんなに惚れさせる香田先輩って、何者なんだろう」











「____ うーん、誘惑じょうずな後輩なんじゃない?」












噂話に紛れるとある廊下で。

____ 桜が、なにかを誘うように、
風にのって揺れた。








Fin.