その人は、私に驚いて固まってしまった。


『龍聖?どうしたの?この人誰?』


袖を引っ張って聞く女の子。


『…あ、ああ。水瀬 桜桃羽さん。俺の大学時代の友達だよ』


慌てて話すこの男性は、そう、私の…


友達だった…人。


同じ美術サークルにいて…


でも、私みたいに本当にものづくりが好きなわけじゃなく、子どもの頃からずっとサッカーをして来た生粋のスポーツマン。


『友達?この人が?』


どういう意味だろう?


『はじめまして…水瀬です』


一応、丁寧に名乗った。


女の子は、ちょっと不機嫌そうに黙ってる。


『…あ、こちら、綾瀬 瑠奈(あやせ るな)さん。えっと…』


『私達、付き合ってます!私、大和 龍聖(やまと りゅうせい)の彼女です』


かなり攻撃的な態度に、ちょっと驚く。


『…そ、そうなんですね。龍聖君の彼女さんなんだ。まさか隣りなんて、偶然過ぎてびっくりだけど…』