『紅月様。本日はおめでとうございます。何かご用がございましたら、何でもおっしゃって下さい』


『ありがとうございます。山内さん、どうぞよろしくお願いします』


『かしこまりました』


世界中に支店を持つ超一流ホテル、グレースホテル東京。


コンシェルジュの山内さんには、いつもお世話になっている。


桜桃羽との結婚式は、絶対にここでと決めていた。


ホテルの中にある立派なチャペルで、俺達は…


式をあげ、そして…


夫婦になる。


控え室に集まっているのは、父や親戚、桜桃羽の両親。


父は、2人の結婚をとても喜んでくれた。


波山さんからいろいろ聞いていたおかげで、父も桜桃羽のことをとても気に入ってくれていた。


本当に…


波山さんには頭が上がらない。


今日も式に参列してくれるようだ。


俺は、桜桃羽の支度を待っていた。


そして…


その時が来た。